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転職における「求人検索」の最適な方法について

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たまたま昨日、ある記事を読んで、思ったことがあったので記事に残しておこうと思う。人材業界に長くいて、多くの人が直面している現実を知った上で、転職活動をしてほしいと思う次第。転職活動のなかで必ず発生する求人検索について、ノウハウというか、知っておくとちょっとだけ得になることを書きたい。このことを理解している人がいないと感じることが多く、少しはためになるんじゃないかなと個人的に思っている。

転職サイトは「やりたいことからできることを探す」ツール

転職サイトやその他求人サイトで仕事を探すときに、検索条件として何を入れるか問うとほとんどの人は「どういう仕事をしたいか」という職種や業界、どういう条件で働きたいかという給与や雇用形態といった条件を入力すると言う。私もそうします。というか、そういう機能として提供しているサイトしか見たことがない。
次のステップとして、検索して絞り込みがされたなかで、自分が受けてみたい求人を探す。この会社は評判悪いから受けないとか、この会社は面白そうとか、比較的会社軸で探す人が多い印象。別にそこは今日の話ではないけど、職種よりも結局は会社を見ている人が多い。で、興味のある求人が見つかってはじめて、その求人に自分が応募できるかどうか、を確認する。「法人営業でのマネジメント経験5年以上必須」「TOEIC800点以上必須」なんて記載があって、なんだ受けられないじゃないかと、そっと求人ページを閉じた経験がある人も多いと思う。

求人サイトって基本的に「自分の希望軸から探して、そのなかで自分のできることを絞り込んでいく」という探し方をするように作られている。ただ、みなさん結構現実を見ている人が多くて、希望軸といってもけっこう現実的なことを検索する。いま営業の人が、クリエイターとか探さない。自分のなかでそこそこ現実が見えており検索するから、それなりの求人が出てくる、そういう仕組みになってる。

転職サイトの仕組みは結構人を追い込む仕様だよねと思う。

個人的に思っているのは、最初は夢膨らむなかで(?)、求人検索をしているのに、探しているうちに疲れてくる、なんか現実見ちゃう、って感じるのはこのあたりに原因があると思う。若手の営業パーソンが、次は転職して事業企画の仕事とかマーケティングの仕事をしたいな、なんて思って転職サイトで検索すると、自分が受けられる求人がほとんどなくて、なんか気持ちが萎えてくる。当たり前ですよね、世の中にはマーケティングの仕事なんてもうめちゃくちゃにある、けど、自分が受けられる求人がほとんどない、「好きなことを仕事」なんて無理だよ、って思う。現実を見せ付けるがごとく目の前に存在する転職サイト。転職する気すら失せるかも。いいか悪いかは別として。

転職サイトに対して、こうしたほうがいいっていう提案があるわけではないけれど、少なくとも、求人を探して疲弊している人に対しては「仕事探してて、全然受かる求人が見つからなくても当たり前ですよ、そういう仕様になってるんだから。」ということは声をかけていきたい。

転職エージェントは「できることからやりたいことを見つける」ゲーム

ゲームなんていうと怒られるかもしれないけど。転職エージェントに登録すると、オフィスやホテルのロビー、もしくは電話などでキャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントと呼ばれる人と面談があって、これまでの経歴やなぜ今の会社を辞めたのか、辞めたいのか、これからどういう仕事をしたいのか、といったことを聞かれる。その情報をもとにキャリアアドバイザーの人たちはその人に合った仕事を探すわけだ。もちろんゼロから会社を探すなんてことはなく、いまその転職エージェントが各企業から預かっている求人資産から探す。大手のエージェントであればあるほど、システムがしっかりしていて、ピコピコとパソコンをいじって求人検索を行う。だって何万件も求人があるから、紙を1枚1枚めくって探すわけはない。

その時に、探し方として、その人の経歴を見て、やれることから探す。つまり求人サイトとは逆で、その人が受けられる求人をまず探す。応募資格とか必要な職務経歴といったような項目を検索していると思ってもらえればいい。なんでそうするかというと、そっちのほうが効率的だから。当たり前なんだけど、次はどんなことやりたいって聞いて、言われたことを探してみても、ほとんどその人が受けられない求人ばっかりなのだから。それに求職者が遠慮せずに言った場合の希望条件に100%満額回答できる求人なんてほぼ存在しない。だから受けられる求人の束から、その人に合いそうな求人を探していく。”できるだけ”希望に合うように。

転職エージェントの求人紹介は未知との遭遇がある

この探し方をすると、面白いことが起きて、受けられる求人のなかには当初求職者が思ってもいなかったような求人が多数存在する(ことがある)。そのため、求人紹介を受けた求職者は、「変な求人を紹介された」と思う人もいるが、思いのほか「思ってもみなかった求人を提案された」くらいの良いとも悪いとも言わないような感想を言うことが多い。どちらかというと好印象の回答だ。そして、これまた思いのほかそういった案件に入社していく方が多い。そうすると、さらに転職エージェントの株はあがる。最初は想像もしていなかった、自分では決して出会えなかった職業、会社に出会って、転職するのだから当然である。

もちろんその求人を紹介するタイミングでキャリアアドバイザーはその会社の魅力であったり、なぜその人に合っていると思ったか、などの説明や提案を行うこともあるだろうし、そうあるべきだと思う。そういう価値の提供についての話はまた別の機会にしたいが、今回の話としては、求職者はしらずしらずのうちに、できる仕事のなかで、最大限希望にあう仕事を探すということをしている。言葉を選ばずいうと、始まった時点から妥協点を探しているのである。

この話を聞いて、もしかすると、もっと俺の希望にあった求人があったんならそれを紹介してくれよ、と思う人もいるかもしれない。実際そういうことを言ってくる人もいる。でもご想像の通り、受からない。転職エージェントは入社が決定しないと企業からお金がもらないので、受かりもしない求人はできるだけ紹介したくない。一度紹介して、求職者の夢がさらに膨らんでしまった場合の後工程はさらに大変だ。期待値を下げなきゃいけない。不動産会社も一番最初からめちゃくちゃ素敵な家を提案しない。それと一緒。

転職エージェントだったら、それに受かるためのアドバイスをしたり、企業に交渉してほしいと思うかもしれないが、そんなことできるわけがない。ときどき、縁故や社員紹介といったルートで、驚くような転職を実現する人もいる。そういうルートを探してみるといいかもしれないが、あまり幸せな転職結果になったという話も聞いたことがない。だってもともと企業が求めているスキルや経歴がないのだから。

どっちのアプローチのほうがいいの?

個人の好みによると思うが、「自分のできるもののなかから、希望に合うものを探す」というアプローチのほうが結果的に幸せになる(表現がおおげさだけど)確率が高いと感じている。その過程においてもだ。一見、妥協のなかから探しているというアプローチに見えるが、結果的には可能性を広げている。そう見えないだろうか?たしかに「自分のやりたいことを探す」「好きなことを仕事にしたいから好きなものから探す」というほうがばら色の工程に見えるが、先ほども申し上げたとおり、結局行き着く先は、できることの範囲に収斂される。それよりも妥協的アプローチである、「できるものから探す」ほうが、結果的に新しい自分を見つけて、がんばってみようと思えているのではないかと思う。私個人としては、転職エージェントという機能そのものを全面的に肯定している立場をとっておらず、むしろこれからの時代に合っていない、いわゆるオワコン化している存在としてみているが、求人紹介という機能を上記のようなアプローチのもと提供できている一点においても、現時点ではすばらしい。

今後、この機能が機械的に提供される転職サイトが現れることは想像に難くない。すでにそういうアルゴリズムを実装したサイトも存在するのかもしれない。しかし、実際にそのアプローチを一人ひとりの求職者が自発的に取れるかと言うとそれはそれで難しいのかもしれない。転職エージェントの求人検索はブラックボックスだからこそ、このアプローチを正当化し、成立をさせているといっても過言ではないのではないだろうか。求人サイトには「やってみたい」「こうなってみたい」という魅力的な求人が溢れている。その誘惑にまどわされず、自分のできることからだけ検索をするということができるという人はまずいないだろう。

私としては、できるなら「自分のできるもののなかから、希望に合うものを探す」ということを実践してほしいと思っているが、「やりたいことから、自分のできることを探す」「自分のできるもののなかから、希望に合うものを探す」どちらのアプローチを取ったら、最終的に最適解にたどり着くかは分からない。そもそも転職する求人に答えなんてないのだから。たどりつく過程が違い、たどりつく求人そのものも違うということを私は考えているが、そうではないのかもしれない。十人十色である以上、検証することは不可能だ。

最後に。

求人サイトと転職エージェントでの仕事探し、求人検索についての違いが分かっていただけただろうか。個人的には「自分のできるもののなかから、希望に合うものを探す」という求人検索アプローチのほうがいろいろ幸せ、と感じているが、それを実践することはなかなかに難しい。この記事をだらだら読んでくれた人が、いまからリクナビNEXTにいって求人を探すときに、よしじゃあ「自分のできることから求人を探してみよう」と思ってもそんな機能はないのだから。転職エージェントが実際にどうやって仕事探しをしているかなんてブラックボックスなのだから。

それに、そんなに単純化されるものでもない。そもそも「自分のやりたいこと」「自分のできるもの」を定義することが難しいのかもしれない。求人を探すときには自分の希望だけではなく、奥様の希望も考慮している可能性は十分にあり、それはいまの検索条件とかけ離れている可能性もある。洗濯機や冷蔵庫を購入するのを選ぶのとは複雑性がまったく違う。気に入らなければまた買い換えればいいや、というほどライトなものでもない。

今後は、より個人が自由に職業を選択し、生き抜いていかなければならないと感じる。それは求人検索のリテラシーをおのずとあげていくだろう。インターネットで必要な情報にたどり着くことが皆上手にできるようになったように。個人のリテラシーが高まれば転職エージェントや転職サイトの役割や機能もさらに進化するか、もしくは必要性を問われることになる。求職者、転職サービス、ともに成長することで、さらに人と仕事のマッチングが高まり、社会の生産性が高まることを期待したい。

※文中に出てくる「受けられない」という表現はほんとは正しくなくて、もちろん誰でも求人応募はできる。受からないってこと。

【徒然管理人ブログ】 このブログ記事は転職サイトや転職エージェントの選び方や転職ノウハウを提供するものではなく、単純に人材業界で起きていることへの関心を記事にしているものが多いです。人材業界で15年以上働いてきた当サイト運営者のひとりごとです。転職関連の転職活動の合間にちょっと一息読んでいただけると幸いです。

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